おからリサイクル事業で判決  福岡地裁小倉支部

元請け新日本製鐵の責任なし

 「覚書」認める

若松区・エコタウン実証研究エリアにある「おからリサイクル工場」を運営していた北九州食品リサイクル協同組合(市内豆腐製造販売店などで構成)が、おから乾燥機(プラント)と工場建屋の工事元請け・新日本製鐵、新日鉄エンジニアリングに対して起こした損害賠償請求訴訟の判決が5月25日午後、福岡地裁小倉支部で言い渡され、青木亮裁判長は同協同組合の請求を棄却した。判決は争点だった「覚書」の有効性を認め、元請け・新日鉄の責任はないと判断した。一方、新日本製鐵が訴えていた土地賃料請求では協同組合に約1890万円を支払うよう命じた。

今回の裁判はおから乾燥機の処理能力など瑕疵があるかどうかが最大の争点だった。しかしその前段階で、被告の新日鐵二社に責任があるのかどうかに焦点が当てられ、公判審理が進められた。

新日鐵が強く主張してきたのが、同協同組合と新日鐵、プラントを下請けした異島電設の三者が交わした「覚書」の存在。内容は「プラントの性能、品質確保に関する事項、及び操業後の瑕疵」などを異島電設の「業務範囲」と明記したもの。新日鉄2社はこれを切り札とし、「法的責任はない」と繰り返してきた。協同組合は「単なる業務範囲を決めたもので、責任が免除されるものではない」と反論し、覚書の理事長印も当時の理事長は押印していないと主張していた。

判決では「瑕疵担保責任免除特約」と表現し、「被告が工事の一括元請けとなるのは、本件補助金の関係で原告(協同組合)と(協同組合会員の)補助参加人(異島電設)とが直接契約を締結することは望ましくなく旨の指摘がされたため」と指摘し、元請け業者の責任免除が原告にとって、「不利益になるとはいい難い」とし、新日鐵の言い分を認めた。また覚書に作成日付がないことについては「工事請負契約書や一括請負承諾書について作成日付を遡及させた(バックデート)との同様、適切な作成日付を後に記入する予定だったのを失念したにすぎないものと認められる」と指摘。通常は表に出ることのない、この種の裏文書に理解を見せた。

逆に新日鐵から提訴された土地賃料請求訴訟では協同組合は「土地代が払えなくなったのはおからリサイクル事業が出来ないからで、その原因は乾燥機。工場が再開したら支払う」としていたが、判決は、おからリサイクル事業とは別問題とし、08年2月までの賃料1894万円の支払いを命じた。

協同組合側は、裁判所に対して、「覚書」が有効か無効かの「中間判決」を出すよう求めていたがその結果、「覚書は有効」と判断され、おから乾燥機の処理能力などは一切審理されないままで1審が終った。今回は「補助金確保」と「覚書」のセットにお墨付きを与える判決となった。

同協同組合は6月4日、一審判決を不服として、福岡高裁に控訴した。

《裁判までの経緯》

 おからリサイクル事業は実証研究を経て、01年10月に工場が稼動した。総事業費約4億4000万円のうち半分を国が補助しており、北九州市も補助金を出している。04年10月に1回目の操業停止。05年5月に再開したが、乾燥機が破裂事故を起こし、再び工場停止した。その後、労働基準監督署が現地入りし乾燥機の是正勧告や措置命令を出し、適正な状態にあるまで使用禁止を命令した。協同組合と新日鐵は工場再開に向けた乾燥機の検証や修繕を協議してきたが、乾燥機は下請け業者の原因検証・補修は困難」となり、機械の買い替えも提案されたが、処理能力が低いことを理由に協同組合が拒否。新日鐵側から5000万円の解決金も提示されたが物別れに終った。工場停止から5年以上が経過している。



Yahoo!ブックマークに登録

サイト内の記事・写真・データ・その他の著作権は小倉タイムスが所有・管理しています。許可なく転載することを固くお断りします。