議会の匿名性継続
北九州市長選挙の告示日だった2011年1月23日。2期目を目指して立候補した北橋健治北九州市長は同日、JR小倉駅前での街頭演説でこう訴えた。
「(一期4年間で)市役所が提出した予算、重要条例は全て、共産党を除く全会派のご承認を得て、着実に子育て支援、教育、福祉、環境、まちづくりの政策を実行することが出来た」。
対立候補の三輪氏を支援した共産党以外の全会派が、自らを支援してくれているとアピールしたかっただろうが、訴えは事実ではない。
市長公約の目玉だった、女性副市長人事案(07年)は当時の自民党議員団の一部が反対に回った。市長退職金廃止条例(09年)も同議員団のみが反対、共産党は賛成した。特に市長退職金廃止条例案を提案した2009年12月定例会では自民党議員団の村上幸一議員が本会議一般質問で市長が選挙資金パーティで多額の収入を得ていることを絡ませて質した。市長は、「法律上認められている政治資金パーティを否定するのか」と反論する場面もあった。一年後の訴えで、市長は誤った情報を発信した。
◇
北九州市議会は定例会に提案された議案に対する議員・会派の賛否結果を議事録やホームページ上で記録・公表していない。
他政令市はどうか。20政令市の市議会ホームページで議案に対する各議員・会派の賛否結果を公表しているのは14市議会。審議結果だけで賛否結果を明らかにしていないのは、広島と岡山、名古屋、浜松、相模原市、北九州の6市議会。
(2013年10月11日付)